横浜市で広告を出すときのルールの全体像です。数字と条文は2026年9月15日に横浜市の条例・規則・公式FAQで確認したものだけを載せています。各章の末尾に出典を付けました。自分の場合だけ知りたいときは、上の「あなたの場合を診断する」へ。
01 屋外広告物とは何か
まず、自分が出そうとしているものが規制の対象に入るかどうかです。
- 営利かどうかは関係ありません。横浜市FAQ Q1-1は「営利・非営利を問わず対象」と明示しています。町内会の案内板も、条件に当てはまれば屋外広告物です。
- 自分の敷地の中でも対象です。FAQ Q1-3は「敷地内外で区別せず」としています。「自分の土地だから自由」にはなりません。
- 車体広告は、法第2条の「これらに類するもの」として、横浜市の規則側で「電車、自動車又は船舶の外面を利用するもの」という類型で基準が決められています。
出典:国土交通省 屋外広告物制度の概要/横浜市 屋外広告物FAQ(2026-09-15確認)
02 自家用か、そうでないか(ここで大半が決まる)
許可が要るか要らないかは、ほぼこの一点です。よくある誤解は「自分の会社の広告だから自家用」。自家用には、場所の要件があります。
- 自家用:1敷地あたりの表示面積の合計が10㎡を超えると許可申請が必要。10㎡以下なら原則不要ですが、蛍光塗料その他これに類するものは使えません(規則第4条第2項第4号)。また景観計画区域内では、10㎡以下でも許可が必要な場合があります。
- 自家用でない:大きさにかかわらず申請が必要です(FAQ Q2-1)。マンションの壁に別会社の広告を載せる、ビル屋上を広告主に貸す、といった形はすべてこちらです。
- 内容が自社でも、他人の壁なら自家用ではありません。定義が「自己の住所又は事業所等に」と場所を限っているためです。自社メディアへのQR看板を駅前の他人の壁に出す場合、「10㎡以下だから許可不要」にはなりません。
- 車体は面積の規定が別扱いです。FAQ Q2-1は10㎡基準に「電車・自動車・船舶の場合は面積に関する規定は適用されません」と括弧書きしています。要確認
03 建物の壁面に出す
- 単位は「建物全体」ではなく一つの外面ごとです。
- この30%は上限であって、許可が下りる保証ではありません。地域・建物・広告の方式・映像装置の有無・景観計画・禁止地域によって追加の条件がかかります。「壁が空いている=広告にできる」ではありません。
- 物件を持っていなくても、建物オーナーから掲出に使える権利を契約で確保するモデルは考えられます。ただし①オーナーとの契約 ②条例上の規制 ③必要な許可 ④施工と安全管理 ⑤広告主と広告内容を分けて確認する必要があります。
出典:施行規則 第6条
04 屋上・広告塔・広告板
- 屋上看板・広告塔・広告板も条例の対象です。手数料の別表に区分があり、許可の対象になっています。
- 屋上看板は、禁止地域の例外から外されています。低層住居専用地域等で自家用が例外的に認められる場合でも、「壁面看板(屋根又は屋上に直接表示するもの)及び屋上看板を除く」とされています。第8章もあわせて読んでください。
- 屋上看板とアーチは、すべてが点検義務の対象です(第10章)。高さに関係ありません。
- 媒体としての価値は、屋上そのものより「見られる時間と人数」で決まります。駅ホームから見える壁、信号待ちで正面に来る壁、幹線道路沿い、踏切付近、駅への生活動線のほうが、媒体価値を説明しやすい場所です。
05 車体広告
- 電車は「一の外面に表示する表示面積の合計が、当該外面の面積の10分の1以下」(同号ア)です。
- 「10分の1又は5㎡以下」の読み方は確定していません。「いずれか小さい方以下」なのか「どちらかを満たせばよい」なのかで、大きな車では許容面積が数倍変わります。見積の前に、車種と実寸を伝えて確認してください。要確認
- 横浜市営バスは別ルートです。交通局の「広告取扱規程」と交通局の広告審査が、都市整備局の屋外広告物許可とは別にかかります。民間のバス・鉄道も各社の媒体規定が別途あります。
- 車体は禁止地域でも走れると読めます。低層住居専用地域でも、許可を受ければ「電車・自動車・船舶の外面利用」は例外として認められるとされています。
06 フルラッピング
面積の基準を超える車体広告は、別の手続きになります。
- 図案審査申請(毎月末日締切)
- 審査会(翌月の上中旬)
- 結果通知(翌月の中下旬)
- 表示許可申請(掲出開始の30日以上前まで)
- 許可 → 掲出
- 掲出できるまで、最短でも2か月近くかかります。営業の約束をする前に、この日程を先に引いてください。
- 再審査が必要になるのは「表示する意匠を変更する場合(文字等のわずかな変更も含む)」「表示する車両を増やす場合」「表示する車両を変更する場合」。
- 広告主を入れ替える媒体には向きません。入れ替えのたびに図案審査からやり直しになります。後部・側面の交換できる広告面を、面積基準の中に収める形のほうが回ります。
07 手数料と許可期間
手数料は広告物ごとに算定されます(敷地単位ではありません)。許可期間が来たら継続の申請が必要で、手数料はそのたびにかかります。
| 種類 | 単位 | 手数料 | 許可期間 |
|---|---|---|---|
| 電車・自動車・船舶の外面を利用するもの | 1台 | 1,500円 | 3年以下 |
| 広告塔・広告板(照明装置あり) 壁面看板もこの区分 | 1基 (5㎡超は5㎡ごと) | 2,400円 | 3年以下 |
| 広告塔・広告板(照明装置なし) | 1基 (5㎡超は5㎡ごと) | 1,500円 | 3年以下 |
| 投影広告物 | 表示面積5㎡までごと | 2,400円 | 3年以下 |
| アーチ(照明装置あり) | 1基 | 9,000円 | 3年以下 |
| アーチ(照明装置なし) | 1基 | 6,000円 | 3年以下 |
| 広告幕 | 1張り | 200円 | 3月以下 |
| はり紙 | 100枚までごと | 500円 | 1年以下 |
| 立看板等 | 1基 | 100円 | 1月以下 |
- 申請は、表示・設置しようとする日の30日前までです(条例第9条)。契約と施工の日程を、ここから逆算してください。
- 継続申請は、許可期間の満了日の30日前まで。継続申請に添える写真は「提出前3か月以内に撮影したカラー写真。近景・遠景の両方」とされています。
- 広告幕は許可期間が3か月以下、立看板等は1か月以下です。長期の媒体にできるのは、許可期間3年以下の区分だけです。はり紙は同じ短期でも1年以下で、立看板とは別の扱いです。
- 建物の壁面に付ける看板は、上の表の「広告塔・広告板」の区分で算定されます。照明の有無で1基1,500円/2,400円が分かれ、表示面積が5㎡を超えると5㎡ごとに加算されます。
出典:広告物許可申請手数料及び許可期間(ページ最終更新 2022-04-21)
08 出せない地域と、その例外
候補地を見つけたら、住所 → 用途地域・景観規制 → 屋外広告物規制の順で調べるのが安全です。
- 原則として設置できない:第一種・第二種低層住居専用地域/古墳・墓地・火葬場
- 指定地域:文化財等(三溪園、関家住宅、旧横浜正金銀行本店本館などの敷地内または周囲50m以内)/道路・鉄道(国道466号、東名高速、新幹線など)/河川区域・海岸(金沢区の海の公園など)
許可を受ければ例外的に出せるとされているもの:
- 低層住居専用地域:電車・自動車・船舶の外面利用/自家用屋外広告物/管理用屋外広告物/1㎡以下の広告物(ただし屋上看板等を除く)
- 道路・鉄道の指定地域:商業地域内の広告物/自家用・管理用(点滅装置なし)/1㎡以下
- 河川・海岸:自家用・管理用(映像装置なし)
09 屋外広告業の登録が要るか
「広告の仕事をする=必ず登録が要る」ではありません。分かれ目は表示・設置を請け負うかどうかの一点です。
対象にならない場合として、横浜市が明記しているのは次の3つです。
・「広告物の枠や企画の仲介のみを行い、表示や設置については請け負わない場合」
・「自社の広告物等の表示や設置を自ら行う場合」 同上
- つまり企画・営業・広告主の募集を自社で行い、設置施工は登録業者に発注するという役割分担は、公式の書きぶりと整合します。ただし契約書に「掲出まで請け負う」と書いた瞬間に対象になりえます。要確認
- 発注先は登録業者に限られます。工事の施工者は、横浜市の登録または特例届出を済ませた業者に限定されています(FAQ Q2-5)。業者一覧が市のサイトにあります。
- 登録する場合:有効期間5年、登録・更新の申請手数料はいずれも10,000円。更新は有効期限の90日前から30日前までに申請します。
- 業務主任者が必要:屋外広告士/屋外広告物講習会の課程修了者/広告美術科の職業訓練指導員免許所持者または修了者/広告美術仕上げの技能検定合格者のいずれか。
- 神奈川県の登録があれば特例届出:県の登録を受けていれば、横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市に所定の届出をすることで、各市の登録を受けたものとみなされます。
10 維持管理主任者と、有資格者による点検
令和4年4月1日から義務になっています。看板は「付けて終わり」の資産ではありません。ここが年間の固定費に乗ります。
- 対象:すべての屋上看板とアーチ/上端の高さが地上から4mを超える壁面看板(直接塗装のものを除く)・袖看板・広告塔・広告板(規則第10条の3)
- 義務①:許可期間を通じて維持管理主任者を設置し、補修その他必要な管理を行う
- 義務②:継続許可申請の前3か月以内に、有資格者に点検を実施させ、点検報告書を提出する
- 資格:屋外広告士/一級・二級建築士/屋外広告物点検技能講習の修了者(規則第10条の4第3項)。屋外広告士だけが、維持管理主任者と点検者を兼任できます。
- 壁を借りて看板を出すモデルなら、誰が維持管理主任者になるのか(自社か、施工業者か、建物オーナーか)を契約で決めておかないと、更新のときに止まります。
11 申請するのは誰か
- 条文の名宛人は建物の所有者ではありません。媒体を運営する側か広告主が申請者になり、建物オーナーからは承諾書をもらう構成が、公式の提出書類の前提と読めます。
- 他人の土地等を借りて第三者広告を設置する場合は、所有者等から承諾を得ていることを示す書類(承諾書等)が必要とされています。契約書とは別に、この承諾書を出してもらえるかを先に確認してください。
- 広告主を入れ替える運用は、ここが最大の論点です。媒体運営者を継続的な許可の名義人にできるのか、差し替えのたびに新規の許可が必要なのかで、運用コストが桁で変わります。変更届で足りるのは意匠の変更を伴わない場合とされているため、広告主の差し替えは意匠変更にあたり、届出では済まない可能性があります。要確認
12 イベント広告物協議
通常の許可に代えて「許可があったものとみなされる」制度です。ただし、誰でも使えるわけではありません。
- 効果:通常の許可に代えて許可があったものとみなされ、許可手数料は発生しません。大きさの基準等が緩和され、禁止地域(高速道路の付近等)・禁止物件(橋りょう等)への表示・設置も可能になります。
- 主催者の範囲:国、地方公共団体、公益法人、横浜市外郭団体、またはこれらが参加する実行委員会等。民間事業者が単独で主催する集客イベントは、そのままでは対象にならない可能性があります。要確認
- 目的:地域振興、観光振興、まちづくり推進、学術文化芸術振興、スポーツ振興など、公益目的であること。
- 期間:原則、表示・設置の日から7日以内。同一区域への再表示は、前回の5倍の日数を空けることとされています。
- 商業広告の割合制限:表示面積に応じた制限があります(例:10㎡未満なら表示面積の10分の1以下)。協賛企業の名前をどこまで出せるかは、ここで決まります。
- 期限:事前相談は可能な限り60日前まで、本申出は表示・設置しようとする日の30日前まで。
13 条例のほかにかかる手続き
屋外広告物の許可が下りても、これが通らないと設置できません。
- 高さ4m超:工作物確認(建築基準法)
- 道路に突き出す:道路占用許可。袖看板・突出看板が該当します
- 地区計画の区域:届出。街づくり協議が別途必要な場合もあります
- 景観計画区域:表示面積10㎡以下でも許可が必要な場合があります
14 このページでは確定できない項目
公開情報だけでは決まらない項目です。ここに当たる話は、このページだけで判断しないでください。
- 罰則の金額:条例第54条以降に規定があります。金額はこのページに載せていません。例規集の本文でご確認ください。
- 車体の「10分の1又は5㎡以下」の読み方:いずれか小さい方か、どちらかを満たせばよいか。
- QR送客型の自社広告が自家用に当たるか:看板は自社名義でも、その先のメディアで他社から掲載料をとる場合の扱い。照会して確かめる必要があります。
- 景観計画区域で「10㎡以下でも許可が必要になる場合」の具体的な区域と条件。
- てびき(許可編)・条例解説・イベント協議のてびき:数値の最終確認は、この3つの原本で行ってください。
- 壁面の広告利用権を押さえて第三者に使わせる契約が、宅地建物取引業法に触れるか:公的な解釈が見当たりません。無免許営業には刑事罰があるため、事業の型を決める前に弁護士に確認してください。
- 落下事故が起きたときの責任分配(オーナー/媒体運営者/施工業者):契約と保険の設計とあわせて、弁護士に相談する論点です。
15 相談先
- 横浜市 都市整備局 地域まちづくり部 景観調整課(屋外広告物担当)
電話 045-671-2648/市役所22階 南側5番窓口
〒231-0005 横浜市中区本町6丁目50番地の10 - 許可・条例、禁止地域、車体広告、フルラッピング、屋外広告業登録、イベント広告物協議は、すべてこの窓口です。
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